フェリ-標準運送約款とは、フェリー会社が運航する航路に乗船する旅客・荷物などに適用されます。
過去の出題傾向をみても、1問でるかでないかといった単元です。
「フェリー標準運送約款」学習内容
- 基礎知識:フェリー標準運送約款とは、用語の定義
- 旅客運送の引き受け:運送の引受け、運航の中止等
- 運賃および料金:適用運賃・料金、乗船券の効力と通用期間、乗船券の払戻しおよび手数料など
- 旅客の義務:旅客の禁止行為等、手回品の保管
- 賠償責任:フェリー会社の賠償責任、旅客の賠償責任
他の運送約款と同じように、国内実務とも重なる部分があるので並行して勉強していきたいものですね。
Contents
基礎知識
フェリー標準運送約款とは
フェリー標準運送約款とはフェリー会社の航路に乗船する旅客や荷物などに適用されるもので、運送約款に定めがない事項は法令の規定または一般の慣習によります。
百聞は一見に如かずということで、商船三井フェリーの運送約款をみてみましょう。
商船三井フェリー 運送約款「旅客運送の部」
- 第1章 総則:適用範囲、定義
- 第2章 運送の引受け:運送の引受け、手回り品の持ち込み等、運航の中止等
- 第3章 運賃及び料金:運賃及び料金の額等、運賃及び料金の収受、乗船の効力、運賃及び料金の変更の場合の取扱い、乗船の適用期間、乗船変更、指定便発行後の乗船変更の特例、乗越し等、乗船券の紛失、不正乗船等、払戻し及び払戻し手数料
- 第4章 旅客の義務:旅客の禁止行為等、手回品の保管
- 第5章 賠償責任:当社の賠償責任、旅客に対する賠償責任
- 第6章 連絡運輸等:連絡運輸、共通乗船券
3章、ながっ。
国土交通省より出されている「標準運送約款」はこちらから。
もしフェリー会社が約款の趣旨および法令の規定に反しない範囲内で特約の申込みに応じた場合、その特約にもよります。
用語の定義
旅客 | 徒歩客および自動車航送をする場合の運転者、乗務員、乗客その他の乗車人 |
---|---|
大人 | 12歳以上の者(小学生を除く) |
小児 | 12歳未満の者および12歳以上の小学生(無料は別表1を参照) |
手回り品 | 旅客が自ら携帯または同伴して船室に持ち込むことができる物(別表2を参照) |
受託手荷物 | 「手回り品」の条件に合う物品で、旅客が乗船する区間でフェリー会社に運送を委託する物 |
特殊手荷物 | 旅客が乗船する区間でフェリー会社に運送委託する物のうち、「自動二輪車」「原動機付自転車」「人力による移動する軽車両」をいう |
自動車 | 道路運送車両法第2条第2項に規定する自動車のうち二輪のもの以外のもの |
【別表1】運賃・料金が無料となる小児
1歳未満の小児 | 人数にかかわらず無料 |
大人に同伴されて乗船する1歳以上の小学校に就学していない小児 | 大人1人につき1人まで無料 |
ただしどちらの場合でも、「指定制の座席または寝台を小児1人で使用する場合」は無料になりません。
【別表2】手回り品
3辺の長さの和 2m以下、重量 30kg以下 | 重量の和が20kg以下の手回り品は無料 |
車椅子 | 旅客画使用するものに限り無料 |
身体障害者補助犬 | 盲導犬・介助犬・聴導犬の表示があれば無料 |
上記の手回り品を旅客が船室に持ち込んだ場合、旅客の自己の責任において保管しなければなりません(手回り品の保管)。
旅客の引受け
フェリー会社は使っている船の輸送力の範囲内で、運送の申込み順序に沿って旅客および手回り品の運送契約の申込みに応じるのです。
ただし一定の事由による申込みの拒否や、契約の解除、運行の中止等をすることがあります。
申込みを拒絶・契約解除する理由
以下に該当する場合は運送契約の申込みを拒絶し、すでに契約した場合は解除することがあります。
申込を拒絶・契約解除する事由
- フェリー会社が発行の中止や使用船舶、発着日時、航行経路、発着港の変更措置をとった
- 旅客が以下のいずれかに該当する
- 感染症の患者
- 泥酔者、薬品中毒者その他、他の乗船者の迷惑となるおそれのある者
- 重傷病者または小学校に就学していない小児で、付添人のない者
- 生命が危険にさらされる、または健康が著しく損なわれるおそれのある者
- 旅客が法令またはこの運送約款の規定に違反する行為を行う、または行うおそれがある
- 運送契約の申込みが約款と異なる運送条件によるものである
- 運送に関して申込者から特別な負担を求められた
みたことがある事由ですね。他の運送約款と見比べながら覚えていかないと。
運航の中止等
以下に該当する場合、フェリー会社は予定した船便の発行の中止や使用船舶、発着日時、航空経路、発着港の変更の措置をとることがあります。
運行の中止等
- 気象・海象が船舶の航行に危険を及ぼす恐れがある
- 天災、火災、海難、使用船舶の故障その他のやむを得ない事由が発生した
- 災害時の円滑な避難、緊急輸送その他これらに類する旅客または貨物の輸送を行う
- 船員その他運送に携わる者の同盟罷業その他の争議行為が発生した
- 乗船者の疾病が発生したなど生命が危険にさらされる、健康が著しく損なわれる恐れがある
- 使用船舶の奪取または破壊等の不法行為が発生した
- 旅客が禁止行為に該当する行為をする、またはしようとしていると信ずるに足りる相当な理由がある
- 官公署の命令または要求があった
条文を読んでいると「この表現でなければいけない理由ってあるの?」と思うことってありませんか?
上記の文章であれば「信ずるに足りる相当な理由」の部分です。
他の法律から引用しているとかだからなのか・・・とりあえず気になるだけ。
運賃および料金
運賃および料金の額等
運賃・料金 | 備考 |
旅客の食事代金 | 運賃・料金には旅客の食事代金は含まれない |
自動車航送における運転者の運賃 | 自動車の運転者1名が2等船室に乗船する運賃が含まれている ※2等船室以外を希望する場合は差額を支払う |
受託手荷物の運賃 | 手荷物の積卸し料は含まれているが、集荷配達料は含まれていない ※旅客が使用する車椅子、身体障害者補助犬の運賃は無料 |
特殊手荷物の運賃 | 特殊手荷物(オートバイ、原動機付自転車、自転車など)の運送運賃は含まれていない |
乗船券
効力と通用期間
乗船券の効力
乗車券は表面記載の乗船区間、通用期間、指定便、等級および船室に限り使うことができ、乗船区間内で途中下船した場合はその乗車券の前途は無効
乗車券(指定便の乗船券を除く)通用期間は乗車券の種類や乗船距離で区分されています。
乗船券の通用期間
片道券 |
|
---|---|
往復券 | 片道券の2倍の期間 |
回数券 | 発売当日を含め2ヶ月間 |
やむを得ない事由により旅客が乗船を延期する、または継続して乗船できなくなった場合、フェリー会社は乗船券の未使用区間の通用期間について7日間を限度に延長します。
乗船変更
通用期間内・発行前の乗船変更
旅客が乗船券の通用期間の終了前に券面記載の乗船区間、指定便、等級または船室の変更を申し出たとき、フェリー会社は1回に限り変更の取扱いに応じる
ただし変更しようとする船便等の輸送力に余裕がない場合には変更できません。
指定便の発行後の変更
旅客が指定便乗船券について、発航後に乗り遅れたなど理由に乗船船便の変更を申し出たとき、乗船券に記載された乗船当日に発航する他の船便の輸送力に余裕がある場合に限り2等船室への変更が可能
乗船後の乗船区間、等級・船室の変更
旅客が乗船後に乗船区間、等級、船室の変更を申し出たとき、フェリー会社は輸送力に余裕がある、かつ、「乗越し」「上位の等級への変更」となる場合に限り、その変更の取扱いに応じる
フェリー会社は変更後の運賃・料金の額と、すでに収受した運賃・料金の額における差額を申し受け、引き換えに補充乗船券を発行します。
運賃・料金が増額する場合のみ受け付けるということですね。
乗船券の払戻しおよび払戻手数料、紛失
旅客が通用期間内で使用開始前の乗車券の払戻しを請求した場合は、所定の払戻手数料を収受して運賃・料金の払戻しに応じます。
もし旅客が乗車券を紛失した場合、原則として以下の手続きにより運賃・料金をフェリー会社に支払い、あらためて乗車券を購入しなければなりません。
乗車券を紛失したときの取扱い
- 再購入のときにフェリー会社は「紛失による再購入である」旨の証明書を発行
- 後日、紛失した乗車券を発見した場合、その乗車券と証明書をフェリー会社に呈示することで払戻しの請求ができる(通用期間の経過後1年以内に限る)
不正乗船
旅客が不正な手段を使って乗船した場合、フェリー会社は所定の運賃・料金のほかに、これらの2倍に相当する額の増運賃・増料金をあわせて申し受けることがあります。
不正乗船の例
- 乗船券を持たずに乗船する
- 無効の乗船券や記載事項が改変された乗船券で乗船する
旅客の義務
旅客は乗下船その他船内における行動において、船長またはフェリー会社の係員が輸送の安全確保と船内秩序の維持のためにする職務上の指示に従わなければなりません。
船長の指示に従わない旅客は乗船の拒否、または下船を命じられることがあり、運送約款で定められている禁止行為等も対象です。
禁止行為等の例
- みだりに船舶の操舵設備その他の運航のための設備又は船舶に係る旅客乗降用稼働施設の差動装置を操作すること
- みだりに船舶内の立入り禁止された場所に立ち入ること
- 船舶内の喫煙を禁止された場所において喫煙すること
さらに知りたい方は国土交通省のHPかフェリー会社のホームページをご覧ください。
賠償責任
フェリー会社の賠償責任
運送約款では、フェリー会社が賠償責任を負う損害について2つ定めています。
旅客の生命または身体に生じた損害
フェリー会社は、
- 旅客が船員等の指示に従い
- 乗船港の乗降施設に達したときから下船港の乗降施設を離れたときまでの間
- 生命または身体を害した場合
- 運送人が運送に関し注意を怠らなかったことを証明した場合を除く
これにより生じた損害について賠償する責任を負う
ただし以下に該当する場合、フェリー会社は責任を負いません。
フェリー会社の免責事由
- 大規模な災害、震災その他の災害が発生する、または発生する恐れがあるときに運送をする場合
- 運送で通常生ずる震動その他の事情により生命または身体に重大な危険がおよぶ恐れがある者の運送をする場合
手回り品など旅客の保管する物品に生じた損害
手回り品その他旅客の保管する物品の滅失または損傷により生じた損害については、フェリー会社またはその使用人に故意・過失があったと証明される場合、賠償する責任を負います。
旅客の賠償責任
旅客が故意・過失により、または旅客が法令または運送約款を守らなかったことでフェリー会社に損害を与えた場合、フェリー会社はその旅客に対して損害の賠償をもとめることが可能です。
確認テストしました!
結果は・・・4問中3問正解!惜しい。
大人1人に同伴されて無料なのは、1歳以上の小学校に就学していない者1名(小児)ですね。
小児や幼児、同伴による無料人数など、他の運送約款でも定められていて、迷ってしまうものです。気を付けないと!
まとめ
- 天災等による運航中止、感染症などの条件該当、違反行為などによって申込を拒絶・契約解除することがある
- 乗車券は種類・距離で適用期間が決まり、払戻可ではあるものの紛失の場合は新たに購入しなければならない
- フェリー会社は、一定の条件において生じた旅客の生命・身体への損害、保管物品への損害について賠償責任を負う
旅先でもよく島を選んでいたのでフェリーに乗る機会が多かったですが、標準約款なんて見たことありませんでしたね。
申込の拒絶・契約解除や禁止行為に該当していなかったことに胸をなでおろしつつ、乗客みんなが安心して利用できるためにもルールは必要だと改めて思いました。守ろう。
今回の旅先 「兵庫県 家島」
同期の何人かで集まって旅行をしようという話になり、3連休に足を運んだのが姫路から船で行ける「家島」。
どこぞの偉い人が戦いの最中で身を潜めたときに、瀬戸内海の風が穏やかで「まるで家のようだ」みたいなことをいったそうです(自信なし)。
まず感想としては、最高。ご飯も美味しいし、家島ツアーも面白かったし、何より島って楽しい!
泊まったところは普通の家を改修した建物で、夕ご飯のお刺身盛り合わせがめちゃくちゃうまい!!!猟師の人かなあ。
これで宿泊費が6,000円~7,000円って安いと思うんですよね。
あと原チャで島を一周して途中に火葬場を見つけたときは、生活に必要なものの一つなんだと改めて感じました。ほんと楽しかったな。
あれから何年か月日が経っていますが、今でも色褪せることなく思い出せるのは、やっぱり嬉しいことです。