貸切バスに関する運送契約について定めたのが貸切バス約款で、正式名称を一般貸切旅客自動車運送事業標準運送約款といいます。
本約款に書かれている内容は以下のとおりです。
「貸切バス約款」学習内容
- 第1章 総則
- 第2章 運送の引き受け及び乗車券
- 第3章 運賃及び料金
- 第4章 特殊な取扱い
- 第5章 責任
- 第6章 旅行業者との関係
他と比べてボリュームは少なく、国内実務でも学習をする範囲です。
過去問を見ても同じような問題が出題され、押さえるべきポイントは少なそうでよかった~。
Contents
総則
「第1章 総則」には「適用範囲」と「係員の指示」について定められています。
適用範囲
貸切バスに関する運送契約は、この運送約款の定めるとところにより、この運送約款に定めのない事項については、法令の定めるところ又は一般の慣習によります。
貸切バス約款の適用範囲もほかの約款と同じですね。
係員の指示
旅客は、バス会社の運転者、車掌その他の係員が運送の安全確保と車内秩序の維持のために行う職務上の指示に従わなければなりません。
指示をするのに必要であるときは、各車両ごとに乗車する旅客の代表者の選任を求めることも可能です。
運送の引き受け及び乗車券
「第2章 運送の引き受け及び乗車券」には、以下の事項が定められています。
- 運送の引き受け
- 運送の引き受け及び継続の拒絶
- 運送の申込み
- 運送の成立
- 運送契約の内容の変更等
- 乗車券の所持等
- 乗車券の再発行
- 乗車券の無効
運送の引き受けおよび継続の拒絶
バス会社は以下のいずれかに該当するとき、運送の引き受けまたは継続を拒絶したり、制限したりすることがあります。
運送の引き受け及び継続の拒絶
- 運送の申し込みが運送約款によらない
- 運送に適する設備がない
- 運送に関し、申込者から特別な負担を求められた
- 運送が法令の規定または公の秩序、善良の風俗に反するものである
- 天災その他やむを得ない事由による運送上の支障がある
- 旅客が旅客自動車運送事業運輸規則の規定に基づく乗務員のする措置に従わない
- 旅客が旅客自動車運送事業運輸規則の規定により持ち込みを禁止された刃物その他の物品を携帯している
- 旅客が泥酔した者または不潔な服装をした者などであって、他の旅客の迷惑となるおそれがある
- 旅客が監護者にともなわない小児
- 旅客が付添人をともなわない重病者
- 旅客が感染症患者
もし⑤を除く上記の事項にあてはまり、運送の継続を拒絶された場合、旅客は運送契約に係る運送の全部が終了したものとみなします。
全部が終了したとみなされるのは「どうかな」と思うところですが、たしかに運送だと始まり・終わりが明確ではないので、提供された分だけ払うということができないですものね。
運送の申込みと契約の成立
運送の申込み
バス会社に旅客の運送を申し込む者は、所定の事項を書いた運送申込書を提出しなければなりません。
運送申込書の記載事項
- 契約責任者の氏名や団体の名称
- 乗車申込人員
- 車両数
- 配車の日時・場所
- 旅程の日程
- 運送の支払方法
運送の成立
運送契約は以下の手順によって成立します。
運送契約の手順
- 旅客からの運送申込書の提出
- バス会社が運送を引き受けるときは、契約責任者(運送契約を結ぶ者)に運賃・料金の支払いを求める
- 所定の運賃・料金の20%以上の支払いがあったとき、バス会社が乗車券を発行し、契約責任者に交付
- バス会社が乗車券を契約責任者に交付したときに運送契約は成立する
運送契約の内容の変更
運送契約の内容変更には「旅客の都合」と「バス会社の都合」の2つがあります。
旅客の都合による運送契約の変更
運送契約の成立後に内容を変更しようとするとき、あらかじめ書面によりバス会社の承諾を求めなければなりません。
ただし緊急またはバス会社が認める場合は、書面の提出は必要なく口頭でも可能。
旅客の変更における申し出に対し、以下の理由からバス会社が承諾しないことがあります。
運送契約の変更を承諾しない場合
- 変更内容が当初と著しく相違する
- 運行上の支障がある
バス会社の都合による運送契約の変更等
車両の故障など緊急でやむを得ない事由により契約された運送ができない場合、バス会社は契約を解除したり、契約責任者の承諾を得て運送契約の内容を変更したりすることが可能です。
異常気象時等における措置
天災その他の事由により輸送の安全確保に支障が生ずるおそれがあるとき、運行工程の変更や一時待機、運行の中止などの措置を講ずることがあります。
乗車券
バス会社がとりわけ認めた場合を除き、旅客は乗車券を所持しなければ乗車できません。
ただ「乗車券を紛失した」「災害などにより滅失した」場合は契約責任者の請求により、配車の日の前日に乗車券の再発行に応じます。
運賃および料金
バス会社が収受する運賃・料金は、乗車時において地方運輸局長に届け出て実施しているものを適用します。
また運賃・料金はバス会社の営業所・事業所に提示しなければなりません。
割引および割り増し
バス会社は以下に該当する場合、地方運輸局長に届け出たところにより運賃を割引きまたは割増しします。
割引き
- 学校教育法の適用を受ける学校に通園または通学する者の団体(幼稚園、小・中・高等学校などで大学・高等専門学校を除く)
- 児童福祉法、身体障害者福祉法などの適用を受ける施設に収容されている者の団体(保育園、身体障碍者福祉センターなど)
割増し
- 特別な設備を施した車両を使用する場合
なお割引きの場合については、学校の責任者が引率して学校の長が発行する証明書を発行した場合に限りです。
支払い時期
バス会社は契約責任者に対し、運賃・料金を以下の金額・期日に支払うよう求めます。
運送申込書の提出時 | 所定の運賃・料金の20%以上 |
---|---|
配車の日の前日まで | 所定の運賃・料金の残額 |
ただし割引ができる団体、官公署、バス会社と常時取引のある者は、支払い時期について特別の定めをすることも可能です。
運送に関する経費
貸切バスを利用するにあたり、支払った以下の運送に関連する費用はすべて契約責任者が負担します。
運送に関連する費用
- ガイド料
- 有料道路利用料
- 航送料
- 駐車料
- 乗務員の宿泊日
特殊な取扱い
違約料
違約料が発生するケース
- 契約成立後に契約責任者の都合により運送契約を解除や車両の減少をともなう契約内容の変更をするとき
- 契約成立後にバス会社の都合による運送契約の解除や車両の減少をともなう契約内容の変更をするとき
解除や契約内容の変更を申し出た者が、違約料を支払うこととなります。
配車日時に旅客が乗車しない場合
出発時刻から30分を経過しても旅客が乗車の意思表示をしないときには、運送契約にかかる運送の全部が終了したものとみなします。
なお適用を受けるには、バス会社が乗車券の券面に記載した配車日時・所定場所に配車していなければなりません。
また天災などやむを得ない事由による場合は、この規定の適用は不可です。
運賃・料金の精算
バス会社が運行工程の変更などで運賃・料金に変更が生じたときは、速やかに精算した結果に基づいて、運賃・料金の追徴または払戻しの措置を講じます。
またバス会社の責めに帰すべき事由により運行を中止した場合、バス会社は以下の運賃・料金を払い戻さなければなりません。
- 目的地の一部にも到達しなかった:収受済みの運賃・料金の全額を払い戻す
- 目的地の一部に到達した:運行を中止した区間にかかる運賃・料金を払い戻す
ただしバス会社が代わりのバスや他の輸送機関への振替輸送を手配して、旅客が利用した場合は、運賃・料金の払戻しはなくなります。
その他
責任
運送契約には「バス会社の責任」と「旅客の責任」が定められています。
バス会社の責任
自動車の運行によって旅客の生命や身体を害したとき、損害が車内または乗降中に生じた場合に限り、バス会社は損害を賠償する責任を負う
なお天災などバス会社の責に帰することができない事由により輸送の安全確保のため一時的に運行中止などの措置をしたとき、旅客が受けた損害の賠償責任は負いません。
旅客の責任
旅客の故意・過失、法令もしくは約款の規定を守らないことで、バス会社が損害を受けたときは、旅客に対して損害賠償を求める
旅行業者との関係
バス会社は旅行業者から運送の申込みがあった場合、企画旅行または手配旅行の区分により以下に従って運送契約を結びます。
企画旅行と手配旅行の取扱い
- 旅行業者が企画旅行の実施のために運送を申し込む場合、旅行業者を契約責任者として運送契約を結ぶ
- 旅行業者が手配旅行の実施のために運送を申し込む場合、手配旅行の実施を依頼した者(旅行者)と運送契約を結ぶ
確認テストしました!
結果は・・・5問中4問正解!あと1問が中々とれない!
運賃・料金は「乗車時」に「地方運輸局長」に届け出たもの・・・書いてる!てっきり、契約申込時かと思いました~
出題頻度の高い単元ではないものの、確認テストの項目くらいを抑えるのは最低限ですね。
まとめ
- 運送の引受・継続の拒絶の事由に該当する場合、天災を除き、運送が終わったとみなされる
- 運賃・料金の支払い時期は、運送申込書の提出時に20%、配車の前日までに残額
- 違約料は解除・契約変更を申し出た方が支払い、出発時刻から30分経過しても旅客の乗車意思がない場合は運送終了となる
総則や拒絶事由は他の約款と似ているので覚えやすいですが、運賃・料金の支払い時期や運送終了とみなす状況などは覚えないといけない。
少しでも覚えることを少なくしたいので、一般的なこと、他の約款と同じようなこと、本約款の特徴といえることを分けて考えていきます。
今回の旅先 「和歌山県 白浜町」
東京で仕事をしている友だちが遊びにきてくれて、高野山に向かった後に訪れたのが海水浴場で人気の高い白浜です。
旅先で行くところといえば、小豆島や家島などの島か、厳島神社や白川郷などの世界遺産だったので、若者が集う場所というのは馴染みなし。
海水浴とかバーべーキューとかなんてものよりも、登山や神社に行く方が好きなもので。
と思いながら白浜に来ましたけれども、実際に見ると綺麗で「来てよかった」と感動しました。
ただ正直なところ、海水浴場に来る前に訪れたふるーい温泉や、千畳敷の方がよかったという。