旅行業務取扱管理者

【独学者向け】旅行業務取扱管理者 試験|標準旅行業約款「手配旅行契約の締結」

やっと「企画旅行契約」の範囲が終わり、約款の2つ目である「手配旅行契約」についてです。
手配旅行契約とは旅行者が旅行業者に旅行サービスの手配を委託するもので、以下の内容を学んでいきます。

 

「手配旅行契約の締結」学習内容

  • 手配旅行とは:定義、契約の内容、旅行代金、債務の終了
  • 契約の申込み・成立:契約の方法と申込み、拒否事由、成立の時期、契約書面の交付
  • 契約の変更・解除:変更に要する費用や旅行代金の増減、解除の種類と費用負担
  • 旅行代金:支払い時期、変更、精算、通信契約におけるカード利用日
  • 責任:企画旅行と同じ

 

企画旅行契約と共通する部分や、異なる部分に意識しながら勉強していくと、復習になったいいですね。
それでは進めていきましょう!

 

手配旅行とは

手配旅行契約とは

旅行業者が旅行計画を立てる企画旅行に対して、手配旅行は旅行者自身が計画を立てて、その計画の必要なサービスの手配を旅行業者が行うものです。

 

約款(手配旅行の部)では、手配旅行について以下のように定義しています。

手配旅行とは、旅行業者が旅行者の委託により、旅行者のために代理、媒介または取次をすること等により、旅行者が運送・宿泊機関等の提供する運送、宿泊その他の旅行に関するサービスの提供を受けることができるように、手配することを引き受ける契約をいう。
国土交通省HP

 

上記より手配旅行における契約は、旅行者が旅行業者に「どこそこに行くので〇月△日の航空券とホテルを手配してほしい」と委託し、旅行業者がこの手配を引き受ける契約のことです。

 

債務の終了

善良な管理者の注意をもって旅行サービスの手配をしたとき、旅行者の債務履行は終了する

 

どういうことかというと、もし満員・休業・条件不適等などの理由で予約ができなかったとしても、旅行業者が義務を果たしたのであれば旅行者は旅行業務取扱料金を支払わなければならないということです。

 

たしかに相手も相応の時間をかけたわけですけれども、手配されていないのであれば旅行者の身としては不満ですね。正直なところ。

 

契約の申込み・成立

企画旅行と同じように手配旅行でも契約の方法は「原則(通常の契約)」と「通信契約」があり、どちらで契約するかで申込みや成立時期などが変わります。

 

  • 原則:主に旅行業者の営業所で、旅行業者と旅行者が対面して契約を締結するのを想定した方法
  • 通信契約:インターネットや電話などの電子方法を用いて、営業所に出向かず契約を締結する方法

 

契約の申込み

手配旅行契約の申込方法は以下の3つです。

 

原則(通信契約でない)
所定の申込書に必要事項を記入して、申込金とともに旅行業者に提出

 

通信契約
会員番号と依頼したい旅行サービスの内容を旅行業者に通知

 

乗車券・宿泊券等のみの手配
旅行代金と引き換えに旅行サービスの提供を受ける権利を表示した書面を交付する場合は口頭による受付が可能

 

「旅行サービスの提供を受ける権利を表示した書面」とは乗車券や宿泊券などのことです。

 

拒否事由

旅行業者は以下の事由にあてはまる場合、手配旅行契約の締結に応じないことがあります。

 

手配旅行契約の締結の拒否事由

  1. 通信契約において旅行者のクレジットカードが無効である等、旅行代金等に係る債務の一部または全部を提携会社のカード会員規約に従って決済できないとき
  2. 旅行者が反社会的勢力であると認められるとき
  3. 旅行者が旅行業者に対して暴力的な要求行為、不当な要求行為、取引関して脅迫的な言動・暴力を用いる行為などを行ったとき
  4. 旅行者が風説を流布し、偽計または威力を用いて旅行業者の信用を毀損する、または旅行業者の業務を妨害する行為またはこれらに準ずる行為
  5. その他旅行業者の業務上の都合があるとき

 

企画旅行契約の拒否事由と同じなので覚えやすいですね。

・・・む!ということは、企画旅行契約の拒否事由を覚えておけば大体いけるということか!

 

成立の時期

企画旅行と同じように手配旅行契約の成立時期は、「通信契約かどうか」「電子承諾通知かどうか」で3種類が定められていて、さらに2つの例外が設けられています。

 

契約の方法 成立時期
原則(通信契約ではない) 旅行業者が契約の締結を承諾し、旅行者から申込金を受理したとき
通信契約(電子承諾通知以外) 旅行業者が契約の申込みを承諾する旨の通知を発したとき
通信契約(電子承諾通知) 電子承諾通知が旅行者に到達したとき
書面による特約 書面において時期を明らかにする
乗車券・宿泊等の手配のみ(口頭申込み 旅行業者が契約の締結を承諾したとき

 

乗車券や宿泊券の手配のみの場合、旅行業者が旅行代金と引き換えに交付するなら、口頭による申し込みも可能です。

 

契約書面の交付

契約方法による契約書面の交付

  • 原則:契約の成立後すみやかに、旅行業者は旅行者に契約書面を交付
  • 例外:旅行サービスの提供を受ける権利を表示した書面を交付するなら契約書面は不要

 

企画旅行契約と同じように契約後速やかに契約書面を交付しなければなりませんが、確定書面はありません。

 

情報通信の技術を利用する場合
あらかじめ旅行者の承諾を得ることにより、契約書面の交付に代えて、契約書面に記載すべき事項を情報通信の技術を利用して提供することが可能

 

契約の変更・解除

契約の変更

旅行者は旅行日程や旅行サービスの内容などの契約内容の変更を求めることができ、可能な限り旅行業者は求めに応じなければなりません。

 

旅行者の求めによる変更の費用負担

  • 「手配の変更に要する費用(取消料、違約料等)」「変更手続料金」は旅行者負担
  • 契約内容の変更によって発生する旅行代金の増加・減少は旅行者の帰属

 

手配両行契約は「旅行者が計画を立て、手配のみを旅行業者に委託する」ものなので、旅行業者が契約内容を変更することはないです。そりゃそうだ。

 

契約の解除

手配旅行契約の解除には、以下の3種類があります。

 

  • 旅行者の任意解除
  • 旅行者の責に帰すべき事由による解除
  • 旅行業者の責に帰すべき事由による解除

 

旅行者の任意解除

手配旅行契約は旅行者の依頼に基づくものなので、旅行者はいつ・どんな理由でも契約の一部または全部を解除することができます。

 

ただし契約解除にともなう費用は旅行者負担になるものもあり、解除前と解除後によっても異なります。

 

旅行者の任意解除にともなう費用負担

旅行開始の解除 旅行開始の解除
  • 未提供の旅行サービスにかかる取消料、違約料等
  • 旅行業者所定の取消手続料金
  • 旅行業者が得るはずであった旅行業務取扱料金
  • すでに提供を受けた旅行サービスの対価

 

旅行者の責に帰すべき事由による解除

旅行者が以下にあてはまる場合、旅行業者は手配旅行契約を解除することがあります。

 

旅行者の責に帰すべき事由(手配旅行契約の解除)

  • 旅行者が所定の期日までに旅行代金を支払わない
  • 拒否事由の①~④にあてはまるとき

 

上記の事由に該当し旅行業者が契約解除をした場合、旅行者の費用負担は「旅行者の任意解除」と同様です。

 

旅行業者の責に帰すべき事由による解除

手配ミスなど旅行業者の責に帰すべき事由により、旅行サービスの手配ができなくなった場合、手配旅行契約を解除することができます。

 

旅行開始の解除 旅行業者は受け取った旅行代金の全額を旅行者に払い戻す
旅行開始の解除 すでに提供された旅行サービスのみ旅行者の費用負担

 

旅行業者に責任があるので、当然のことながら旅行サービスを提供していないのであれば、
旅行代金はすべて旅行者に払い戻さなければなりません。

 

また旅行代金の払戻しとは別に、旅行者は旅行業者に対し損害賠償の請求をすることができます。

 

旅行代金

総額でまとめられている企画旅行とは異なり、手配旅行では旅行代金の内訳が細かく明示されます。

 

手配旅行契約における旅行代金

  1. 旅行業者が運送・宿泊機関等に対して支払う費用
  2. 旅行業者所定の旅行業務取扱料金

 

また「契約の変更が生じたときの変更手続料金」や「契約が解除さえたときの取消手続料金」は旅行代金に含まれません。

 

支払い時期

契約方法による支払い時期

  • 原則(通信契約ではない):旅行開始前の旅行業者が定める期間
  • 通信契約:伝票への旅行者の署名なくして旅行代金の支払いを受ける

 

また通信契約では、旅行業者が確定した旅行サービスの内容を旅行者に通知した日がカード利用日となります。

 

変更・精算

旅行代金の変更
旅行開始前において、運送・宿泊機関等の運賃・料金の改定、為替相場の変動などで旅行代金が変わった場合、旅行業者は旅行代金を変更することができます。
なお旅行代金の増加・増減の帰属先は旅行者。

 

いろんな理由で旅行代金に変更が生じたため、「精算旅行代金」と「旅行代金としてすでに収受している金額」が合致しない場合、旅行終了後に以下の方法で速やかに精算されます。

 

旅行代金の精算

  1. 「精算旅行代金>すでに収受した金額」の場合⇒旅行者が旅行業者に差額を支払う
  2. 「精算旅行代金<すでに収受した金額」の場合⇒旅行業者が旅行者に差額を払い戻す

 

通信契約におけるカード利用日

通信契約を結んだ場合に旅行者が負担すべき費用等が生じたときは、旅行業者は所定の伝票への旅行者の署名なくして支払いを受けられます。

なお費用の支払いまたは払戻しが生じた場合、旅行者に額を通知した日がカード利用日です。

 

手配旅行契約におけるカード利用日

クレジット決済の内容 カード利用日
手配できなかったときの旅行業務取扱料金の支払い 旅行業者が「運送・宿泊機関等との間で契約を締結できなかったこと」を旅行者に通知した日
旅行代金の支払い 旅行業者が確定したサービス内容を旅行者に通知した日
旅行者が負担すべき費用等が生じた場合 旅行業者がこれらの額を旅行者に通知した日
旅行者に払い戻すべき額が生じた場合 旅行業者がこれらの額を旅行者に通知した日

 

責任

手配旅行契約における旅行業者の責任(損害賠償責任)は、企画旅行契約とまったく同じですので、以下のまとめをご覧ください。

 

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確認テストしました!

結果は・・・7問中7問正解!これは割と覚えていた!

とはいえ注意が必要だと思ったことがいくつかあります。

  • 旅行代金に変更手続料金・取消手続料金は含まれない
  • 書面による特約で申込金の支払いを受けずに契約する場合の成立日は書面に明示

問題解いてみても企画旅行契約と重なる部分があるので、「確定書面はない」「旅程管理の責任はない」など異なる部分に気を付けながら覚えていかないとですね!

 

まとめ

手配旅行契約
  • 契約の方法によって申込みや成立時期や、旅行代金の支払時期は異なる
  • 通信契約におけるカード利用日は、旅行者が負担すべき費用や払戻しの額を通知した日
  • 企画旅行契約に対して契約方法・拒否事由・責任などは同じで、旅程管理の義務・確定書面の交付はない

 

思った以上に企画旅行契約と重なっていたり、旅行業法の「約款の適用範囲」などを思い出したりと、他の項目と関連させながら覚えられてよかったです。
回を重ねていくごとに理解が深まっていくのはいいことですね。
さあ手配旅行契約は終わり、次は「団体・グループの取扱い」です!サクサクいきますか~!

 

今回の旅先 「岐阜県 高山市」

入社して1年目のときに会社の先輩たちと一緒に小京都・高山市へ行ったときの思い出です。

街並みも素晴らしいのですが、アニメの聖地としても有名ですよね。
個人的に目を見張ったのは、高山へ向かう道の山レベルの高さでした。
木と木が密集していて、あらためて人が足を踏み入れられない場所というのがあるのだと感じたのを覚えています。

市街地から少し離れた民宿に泊まり、夜は静けさと暗さが忙しい日々を忘れさせてくれました。

騒がしさと静けさ、明るさと暗さ、都会と自然。
せわしない毎日の中で自分と世界を感じられた、そんな素晴らしい時間だったと思っています。思い出は美化されるものです。