旅行業務取扱管理者

【独学者向け】旅行業務取扱管理者 試験|旅行業法「営業保証金」

旅行者の保護を図るために設けられた「営業保証金制度」の項目では、その仕組みや預ける額などについて学びます。

 

「営業保証金」学習内容

  • 営業保証金制度の概要:制度の主旨や仕組み(供託・還付・取戻し)
  • 営業保証金の額:登録業務範囲ごとの額
  • 営業保証金の追加供託:追加供託の事由と届出の期限

 

それでは勉強していきましょう!オー!

 

営業保証金制度の概要

営業保証金制度とは旅行業者と取引をした旅行者の保護を図るため、旅行業者は一定額を国(供託所)に預けて管理をまかせるよう義務付けるもので、旅行業法で定められています。

 

営業保証金制度の概要

  • 営業保証金の供託:登録を受けた旅行業者は最寄りの供託所にお金を預けること
  • 営業保証金の還付:債務不履行があった場合に営業保証金から弁済を受けること
  • 営業保証金の取戻し:一定の事由が起こった場合に営業保証金を返してもらうこと

 

営業保証金の供託

新しく旅行業の登録を受けた旅行業者は、主たる営業所の最寄りの供託所に営業保証金を供託しなければなりません。

 

供託してから事業開始までの流れは以下のとおりです。

 

事業開始までの流れ

  1. 旅行業の新規登録
  2. 最寄りの供託所に一定額の営業保証金を預ける
  3. 登録の通知を受けた日から14日以内に登録行政庁へ供託した旨を届け出る
  4. 届出をした後で事業開始

 

登録行政庁への届け出には、営業保証金を供託したときに受け取る供託所の写しを添付する必要があります。

 

旅行業者代理業者は営業保証金を供託する義務はありませんが、所属旅行業者が供託をして登録行政庁に届出しなければ事業開始ができません。

 

営業保証金の還付

「営業保証金の還付」とは営業保証金から弁済を受けることをいい、旅行業者と旅行者の間で債務不履行が生じた場合に発生します。

 

具体的には旅行者が旅行業者に旅行代金を支払ったにもかかわらず、旅行業者が倒産したために旅行が実施されないようなケースなどです。

 

弁済を受けられるのは旅行者のみで、権利を実行するには、まず登録行政庁に申し立て証明書の交付を受けてから、供託所に還付請求をする流れとなります。

 

営業保証金の取戻し

一定の事由に該当する場合に供託している営業保証金を取戻すことができ、事由によっては広告手続きが必要になります。

 

公告とはある情報を一般に広く知らせることで、官報に掲載するのが一般的です。

 

公告手続きが必要な事由

  • 変更登録により供託している営業保証金の額が国土交通省令で定める額を超えるとき
  • 有効期間終了、登録取消し、執行などにより旅行業者の登録が抹消されたとき
  • 旅行業者が旅行業協会に加入し保証社員となったとき

 

忘れると大変そうなので、赤で囲んでみました。

 

公告手続きが不要な事由

  • 国土交通省令の改正で、営業保証金の額が引き下げられたとき
  • 事業年度終了後に旅行者との取引額が減少したため、供託している営業保証金が国土交通省令で定める額を超えるとき
  • 旅行業者の主たる営業所の移転により供託所を変更する場合で保管替えの請求ができないとき

 

なぜ公告をするかというと供託所している営業保証金を返してもらうにあたり、還付の対象者がいないかを確認するためです。

 

公告する内容は「旅行業者が営業保証金を取り戻すこと」「還付請求権者は6ヶ月を下らない一定の期間内に申し出ること」で、公告後に申し出がなければ全額を取り戻すことができます。

 

営業保証金の額

登録した旅行業者が供託所に預ける額は、前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引額と登録業務範囲ごとで、国土交通省令により定められています。

登録業務と営業保証金額(最低額)

第1種 7,000万円
第2種 1,100万円
第3種 300万円
地域限定 15万円

 

旅行業者第業者と旅行サービス手配業者は該当しません。

 

上記の金額をみたときに「え!預ける金額が高すぎじゃない!?」と素朴に思いました。
登録制度の「拒否事由」における財産基礎の要件も考えれば、旅行業(特に第1種)を始めるには相応の資金力が必要だと実感しました。ハードル高い。

 

ただ私の勉強不足ではありますが、他の業種も新規参入するときには同じくらいお金が必要になるものなのでしょうか…?気になっています。

 

なお「旅行業務に関する旅行者との取引額の中には、①自社に所属する旅行業者代理業の取引額、②自社の実施する募集型企画旅行の受託契約に基づく他社の販売額も含まれることに注意です。

 

また新たに登録された旅行業者の場合、前年度の取引実績はまだありませんので、登録の申請書類に記載した「年間取引見込額」で算定されます。

 

営業保証金の追加供託

「登録業務範囲を変更した」「取引額が増加した」など、事業をしていれば営業保証金を追加で供託しなければならないときがあります。

 

一定の事由に該当する場合は営業保証金の追加供託に加えて、所定の期限までに登録行政庁に届出なければなりません。

 

営業保証金の追加供託における事由と届出期限

追加供託の事由 届出の期限
国土交通省令の改正に伴う営業保証金額の引き上げ 省令施行の日から3ヶ月以内
取引の増加による供託している営業保証金の不足 事業年度終了後100日以内(終了の日の翌日から)
登録業務範囲の変更による供託している営業保証金の不足 期限の定めはない
営業保証金の還付による供託している営業保証金の不足 登録行政庁から還付により不足額が生じた旨の通知を受けた日から14日以内
旅行業協会の保証社員であった旅行業者が保証社員でなくなったとき 保証社員でなくなった日から7日以内

 

保証社員とは旅行業協会に加入して弁済業務保証金分担金を納付した旅行業者のことです。

 

営業保証金の取戻しにおける公告手続きの要否とともに、この表はしっかりと覚えていくぞ!

 

確認テストしました!

結果は・・・8問中5問!はい、アウト!

曖昧にしていた部分が割とあったんだなあ、と実感しますね。
営業保証金に充てられるのは、現金以外に国際証券や地方債証券もあることは認識してなかったです。

あと債権の弁済対象になるのは、旅行業者の取引相手の中でも「旅行者」だけでしたね。

うーん、復習あるのみです!

まとめ

営業保証金
  • 営業保証金制度は旅行業者と取引した旅行者を保護するために設けられ、一定額の供託を義務付けられている
  • 事業開始、営業保証金の還付・取戻しの手続きについて、関連機関や書類、日数を忘れず
  • 営業保証金の追加供託には、変更事由と変更期限に気を付けて

 

たしかに金銭的には厳しいものがありますが、旅行業者と旅行者のどちらの立場でも何かあったときのことを考えると必要な制度だと考えます。

 

もし旅行業者が倒産してしまったら、倒産した当人が大変なのはもちろんのこと、先払いしていた旅行者にも被害が出る。

 

そうならないように営業保証金制度に限らず、色んな制度があるので仕組みというのは大切だと再認識しました。

 

今回の旅先 「富山県 富山市八尾区」

「富山市八尾区?どこ?」と思われる方がいるかもしれません。
そんな方に一度は訪れてほしい、そう「おわら祭り」の日に!

おわり祭りでは踊り手が笠をかぶっていて、その姿と手のなめらかな動きが合わさり、艶やかさを醸し出します。
駅から会場までかなり歩き疲れはするのですが、通り道全体がおわら祭り感を出しているので、楽しみながら進むことができしました。

おわら祭りは9月1日から3日の3日間で開催されるものの激混み。
それでも足を運ぶ価値があると、私は思うわけです。